「人手が足りない…」
「このままでは事業が回らない…」
そんな不安を抱えている中小企業の経営者は、あなた一人ではありません。
人手不足は多くの企業にとって深刻な課題であり、放置すれば事業の縮小や業績の悪化に繋がりかねない重大な問題です。
最悪の場合、順調な黒字経営であっても人手不足が原因で資金繰りが悪化し、人手不足倒産という事態に陥ってしまうケースも…。
とくに介護施設のような人材への依存度の高い業界では、人手不足による閉鎖のリスクがさらに高まります。
本記事では、人手不足が原因で倒産や廃業に至ってしまうメカニズムと、そのリスクを回避するための具体的な7つの対策を実際の事例を交えながら解説します。
これらの事例と対策を理解することで、人手不足の危機からあなたの大切な事業を守り、安定した経営基盤を築くことができるでしょう。
人手不足が企業にもたらす4つの深刻な影響と影
人手不足は様々な形で企業に悪影響をおよぼします。
売上減少【人手不足により顧客満足度が低下】
人手不足により顧客への対応や生産が滞ると、顧客満足度が低下して売上減少に直結します。
例えば、飲食店であればホールスタッフの不足により注文や配膳が遅れることにより顧客が離れてしまう可能性がありますし、製造業であれば生産ラインの人員不足が生産量の減少や品質の低下につながり、納期の遅延や受注機会の損失につながる可能性があります。
従業員の負担増【従業員が人手不足で疲弊】
慢性的な人手不足は、既存の従業員の負担を増大させます。
残業の増加や休日出勤は従業員の疲労を蓄積させ、モチベーションの低下や離職に繋がります。
さらに、人手不足による業務過多は従業員の心身の健康を害するリスクも高まるので、安定的な経営基盤を揺るがすことにもなりかねません。
事業の縮小・撤退【人手不足で事業継続が困難に…】
人手不足は、企業の成長に必要な新規事業展開や業務の拡大を難しくするだけでなく、既存事業の維持さえも困難にする可能性があります。
人材が確保できないために新たなビジネスチャンスを逃したり、サービスの質を維持できなくなったりすることがあります。
その結果、事業の縮小や撤退を余儀なくされるケースも少なくありません。
倒産リスク【資金繰り悪化で廃業・閉店へ…】
人手不足による売上の減少や従業員の負担増加、事業の縮小は最終的に企業の資金繰りを悪化させます。資金繰りが行き詰まれば事業の継続が困難となり最悪の場合は倒産に陥るリスクが高まります。
人手不足倒産の事例【他人事ではない!身近な倒産リスク】
ここでは、実際に人手不足が原因で倒産または廃業に追い込まれてしまったという事例を紹介します。
黒字倒産【利益が出ていても倒産するケースとは?】
利益が出ているにも関わらず、人手不足による人件費の増加や、機会損失により資金繰りが悪化し倒産してしまうケースを黒字倒産といいます。
事業縮小・閉鎖【人手不足で事業継続が困難に…】
人手不足により事業を縮小せざるを得なくなり、最終的に閉鎖に至った事例も少なくありません。
後継者不足【事業を継ぐ人がいない…】
後継者不足も人手不足と深く関係しています。あまりに人手不足が深刻化すると事業を継承する魅力が薄れてしまい、後継者が見つかりにくくなるためです。
なぜ人手不足で倒産するのか?人手不足と倒産のメカニズムを解説
人手不足がどうして倒産に繋がってしまうのか、そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。
人手不足の始まりは採用難【人材獲得競争の激化】
そもそもの人手不足の始まりは、年々進む少子高齢化や人々のライフスタイルと意識の変化により、企業側が求める人材を採用することがどんどん難しくなっていることです。
仕事を探す人は給与や待遇だけでなくワークライフバランスや企業理念、自身の成長機会などを総合的に判断して就職先を選ぶ傾向が強いので、企業側はより魅力的な求人条件や職場環境を提供する必要性に変化が迫られています。
資金繰りの悪化【人手不足が経営を圧迫】
そして人手不足は、様々な形で企業の資金繰りを悪化させます。
人件費増加
人材確保のために賃金を上げたり、残業代が増えることで人件費が膨らみます。
採用コスト増加
どうにかして人手不足を解消しようと、さまざまな求人広告への掲載費用や、人材紹介会社への手数料など、採用活動にかかるコストが増加します。
機会損失
人手不足でせっかくの受注もさばけないので泣く泣く断ったり、新規事業展開のチャンスを諦めたりと収益機会を逃してしまうことになります。
人手不足がさらなる人手不足を呼ぶ【負のスパイラル】
こうして採用難から始まり資金繰りの悪化から倒産まで、人手不足は以下のような負のスパイラルに陥りやすく、企業を徐々に倒産や廃業へと追い詰めていきます。
- 1人手不足が発生
- 2従業員の負担が増加
- 3モチベーション低下や疲労により離職者が増加
- 4さらなる人手不足に陥る
- 5商品やサービスの品質が低下
- 6売上減少
- 7資金繰り悪化
- 8倒産
人手不足倒産を防ぐ7つの対策【今すぐできることから始める!】
では、このような人手不足倒産を防ぐために、私たち企業はどのような対策をしていけば良いのでしょうか?ここでは人手不足倒産を防ぐための具体的な7つの対策方法をご紹介します。
対策1.採用戦略の見直し【求める人材を獲得するには?】
まず、これまでの採用手法と結果を見直し、現状をしっかりと把握したうえで今までとは異なるより効果的な方法で人材を確保するための戦略を立てる必要があります。
対策2.従業員の満足度向上【定着率UPで人手不足解消!】
今すでにあなたの会社で働いてくれている既存の従業員の定着率を高めることも、人手不足解消には欠かせません。
各スタッフや社員みんなが働きがいを感じ、長く働きたいと思える職場環境を作るためには、例えば以下のような取り組みが有効です。
対策3.業務効率化【より少ない人数でより多くの成果を】
業務効率化を進めることで、少ない人数でも多くの業務をこなせるようになり、人手に頼った経営の解消に繋がります。
対策4.外国人材の活用【新たな労働力の確保】
外国人労働者の採用で労働力不足を補うといった外国人材の活用も現在は人手不足解消の有効な手段の一つとなっています。
外国人向けの技能実習制度を活用することで、特定の技能を習得させながら人材を育成することができます。ただし、外国人材を採用する際にはビザの取得や生活習慣の違いなど考慮すべき点も多くありますので注意が必要です。
対策5.事業の自動化・省人化【ロボットやAIで人材不足に対応】
ロボットの導入やAIなどを活用することで、業務を自動化・省人化して人手不足に対応することができます。
例えば製造業や物流業などでは、これまで人手に頼っていた作業をロボットに行わせることで人材不足の問題を低減もしくは解消することができます。
また、ここ最近ではAIの活用もかなり進み始めているので、一般事務やリサーチ業務といったバックオフィス業務にAIを活用することで、データ分析や顧客対応などの業務を自動化していくことも、少ない人手で事業を運営する省人化対策の一環としてとても有効です。
対策6.事業承継対策【後継者不足による廃業を予防】
後継者が不在による廃業を防ぐためには、早い段階から事業承継についての対策を進めて行くことも重要です。
いずれにしても事業が順調に回っている早い時期に進めておくことがスムーズに継承や譲渡を成功させるカギとなります。
対策7.専門家への相談【専門家の知恵を借りて人手不足を解決】
人手不足問題に対して自社だけで解決策を見つけたり実行するのは現実的に難しい場合もあります。そんな時は専門家の力を借りることも有効です。
まとめ|人手不足のリスクを理解し早めの対策がカギ!
人手不足は放置すると深刻な経営危機を招き、倒産や廃業に繋がりかねない重要な問題です。
本記事で紹介した事例や対策を参考に、自社の現状をよく把握して事業サイクルの早い段階で予防策を進めて行きましょう。
・積極的に人材確保に取り組む
・従業員が働きやすい環境を整える
・少ない人数で業務の処理が可能になるように効率化を進める
こうした対策に1つずつ取り組んで行くことで、人手不足によるリスクを回避し、持続可能な事業成長を実現して行きましょう。
コメント